XR230
とはいえ、自分の攻勢終末点は、目一杯頑張って日野ハードエンデューロのソフトクラスが限界で、オフロードパーク白井で開催されるいかなる大会も、自分の限界以上と考えていたから、どんなに誘われようとも断る方針でいた。それを今回、あえて参加したのは、あまり断り続けるのも気の悪い話しだと思った事と、ともかく行ってみない事には良いも悪いもなかろう、と思ったからである。何事も経験である。
昨日の新谷田部ESLでの練習の事。嫁さんは今回もコースのご好意で昼休みに走って良いよという事で、延々40分も走っていたのであるが(なかなかタフである)、その最後の方で、新しく出来た奥のコブの所で、何をどうしたのか思いっきり前転してXR230“パンツァーファウスト号”を背負い投げしていた。自分が見たのは、あの太いIRCツーリストのリアタイアが天空の方を向いてバイクが逆立ちしてるシーンだったのだが、コンクリートトーチカ並みに頑丈な嫁さんの事だから、おそらく大丈夫だろうと思って様子を見ていたら、案の定、ちゃんと自分でバイク起こして、何事もなかった様に再発進した。羨ましいほどにエンデューロ向きに出来た心身である。
さて、あとで一体どうしてそうなったのかを聞いてみたら、「ジャンプ飛べるか試してみた」との事。で、フロントが浮いたまでは良かったが、フロントが地面に着いたら背負い投げになったという。まぁ、大体どうしてそうなったかは分かったが、ポイントはそうなった時に「あれこれしてもどうにもならないから、そのまま前転した」という。結果として、それが怪我に繋がらなかった。どうしても本能的に足を出したり手を出したりするのであるが(それで怪我する事が多い)、転ける時は素直に転けた方が怪我が少ないのである。
しかし、ジャンプしろとも言ってないし、ジャンプの仕方も教えてないのに、よくもまぁ、あんな尖ったコブでジャンプ飛ぼうと思ったものである。それだけ“乗れて来た”という事でもある。そして、最初怖々乗っていたのが、乗れて来た辺りで大体一発目の怪我をする。誰しもが通過する成長過程である。怪我をしなかったのは、若干なりとも武道の心得があったのと、クソ度胸があったからであろう。
自分に比べて、彼女は飲み込みは早い方だと思う。おそらく、横系の動きに対しては基本的な感覚は身に付いたんだと思う。となれば、前後系と縦系の動きについて、そろそろ教えてあげないと、オフロードを楽しめないだけでなく、安全に乗る事は出来ない。あれだけの頑丈さと根性と粘り強さがあれば、良いエンデューロライダーになるはずである。
先日の新谷田部ESLでの練習のこと、嫁さんが「5、6歳の子に何度も抜かれて屈辱的だ」としきりに言うので、「こちらがいくら6倍長生きしてても、バイク歴はあちらさんはたっぷり3年はあるんだから、抜かれて当然」といなしたのだが、いまひとつ納得いかない様子。まぁ、悔しけりゃ、アクセル開けるしかないし、アクセル開けるのが怖ければ、走り込んで慣れて行くしかないのであるが、オフロードコース初体験の人にそんな事言っても始まらない訳で、その割には上手に走れてるので、誉めて伸ばす方向でいく事にした。
ところが今度は「たにしさん、ちびっ子に抜かれてるじゃないですか!」と宣う。抜かれたのではなくて、抜いてもらったのだが、それが傍目にはええ歳こいたオッサンが恥ずかしくないのか、という風に写ったらしい。人様からどう見られようが、今さら恥ずかしいとも思わん様になったのだが、ここは大事なところなので、この世界の常識というかモラルというか、そういうのをご教授した。つまり、
「コースで練習中は、誰それと競争してる訳ではない。仮に相手を抜いたとしても、相手には自分と競争している意識はない訳だし、それをもって自慢するのはお門違いである。自分の心の中で「あの人を抜く」と目標にして走るのは結構だが、それを自慢するというのは間違いである。逆に、自分が何かテーマを持って走っている時は、後ろから早そうな人がきたらラインを譲る。今のは、バイクの調子を見るために、先にあの子に言ってもらったのである。」
そのあとも、「他の人はジャンプ飛んでるのに、たにしさんは全然飛んでないじゃないですか!」とか言われたが、いやいや、一応は軽く飛びましたから。ただ、飛ぶよりナメて走った方が次のセクションにつながり易いから飛ばんだけの話しで、飛んで具合の悪くない人は飛んだらよろしい。なんなら、あんたもピョーンと飛んだって構わないのよ。
とはいえ、人に抜かれて悔しいと思うのはガッツのある事だし、あの重たいXR230を、転けてもちゃんと自分一人で起こして乗って帰ってくるのだから、大したものである。走りにしても、自分が初心者の頃に比べたら、彼女の方がおそらく上手だと思う。このまま続ければ、もっとライディングを楽しめる様になると思う。
この日は、まだバイクに十分慣れてないというか、まだしっくり行かない所があって、もっと頑張れるところまで行かなかったのだが、「もしかしたら本当にちびっ子に勝てなかったらどうしよう」不安になったので、密かに追尾した。筋のいい子で、頑張って走ってたが、こちらは9倍の排気量のあるバイクであるので、ストレートで一気に抜かせて貰った。バイクは良いのだ。乗り手の問題である。
レース車両としては退役させたXR230“パンツァーファウスト号”、その後の任務は練習機という事になっているのだが、実は具体的な使い道についてはあまり考えてなかった。練習機であるからには、自分はあまり使わないであろうし、貸し出すにも借り手もあまり居ないという事で、とりあえず保管しておく、という感じだったのだ。
練習機というからには、バイクの乗り方をこれから習う人を前提としているのだが、問題は場所である。バイクの起こし方や押して8の字歩く、といった超々初心者の段階で、オフロードコースに行くとなると、走行料3〜4,000円が馬鹿にならない。さりとて適当な河川敷や山がある訳でなし、どういう形であれ、どこかのコースでやるよりない。そこで目をつけたのが、トリンバである。ここは他より全然走行料が安いのだ。それでいて、初心者向けの練習をやってもあまり迷惑にならない。奥のウッズに行けば、アタックツーリングの練習も出来るのである。
問題は、トライアルタイヤを履かせる必要がある事だ。まぁ、トライアル場なので当たり前なのであるが、前に持っていたのは2年も前のだったので売ってしまい、手持ちにあったのがK140だったので、それを履かせて使わせてもらったのだが、これがウッズでは結構滑る。こんな事なら、前のトラタイヤを残しておけば良かった。おそらく、XR230は今後はエンデューロでは使わないと思うし、仮にオフロードコースを走るにしても、よほどのマディでもなければトラタイヤでも問題ないので、練習機用として改めて調達しようと思う。
オイルはシルコリンのPro4を使っているが、これも練習機に使うには贅沢かなぁ、と思わないでもない。トリンバで練習するならば、それほどエンジン回す訳でもないし。XR230は180分でオイル交換するのであるが、1.5リットル消費するので値段も馬鹿にならないのだ。しかし、120分を越える辺りでギアの入り方が悪くなってくるバイクである。G3みたいな安いオイル入れて変な風になっても困る。それに毎週使うのであればともかく、月に1回も使えば多い方であるから、この辺りはあまりケチらない方が良いかもしれない。
XR230はセロー225と同様に「女の子バイク」という認識をしていたのだが、実際には結構重たいバイクで、おにゃのこには扱いかねる傾向がある。CRF150FとかXR100辺りが軽くて足付きも良くて、初心者には乗りやすいバイクなんだろうと思うのだけど、公道走って、キノコとか生えてる山とかに行くなら、100ccクラスのバイクではキツいものがあるし、実際、アタックツーリングに行ってる女子達はXR230やセロー225で頑張っている。これまではレースメインで色々考えてきたけど、今後は公道(というか、そこらの山とか)も考慮に入れて考えてみようと思う。
この曲、もちろん自分が作ったものでなくて、他の人が作ったものなのだけど、なんと特設サイトがあった。
ここには、こう書いてある。
「あくまで、他人を笑わせるためのものです」
「自分を元気付けるためのものです」
そうか、そうなのか、自分を元気付けるためのものだったのか。なんて心優しい、勇気溢れる曲なんでしょう。
もともと神々しい(だから歌詞が余計に可笑しく聞こえる)曲だけど、そのカラオケバージョンは、どっかの会社の社歌にしたいくらいキレイで格好良かったです。
特に兵器の世界では、部品の共通化というのは、生産性や運用の面で利点が多いと言われているのだけど、バイクに関しても同じだと思う。2014年の後半以来、XR230“パンツァーファウスト号”に次々とCRF250Rのパーツが取り付けられ、CRF250RX“モルゲンシュテルン号”もリアを18インチ化した事で、両車には様々な共通部品が増えた。
- 前後タイヤ
- 左右レバー
- ハンドル
タイヤが互換させれるメリットは非常に大きいと思う。どちらもエンデューロマシンとして仕上げたので、同じエンデューロタイヤ使えるのは有り難い。いわゆる補給の面で非常に楽である。今までなら、ヘタしたら、2台分で4本もタイヤがダブつく事があったのだが、うまくヤリクリすれば、どちらかに新しいタイヤを履かせた時に、もう1台に古いのを履かせて使う、という事も可能だ。あと、リア18インチは結構潰しの効くタイヤで、山や角が残っていれば、ヤフオクで転売する事も可能である。19インチだとなかなか買い手が付かないのだ。
レバーは、これまに折った事はないとは言え、やはり予備を持っておく必要のある部品であるが、2台別だとやはり面倒臭い。共通化していれば、1セットあれば、とりあえずはどうにかなるし、何ならどっちかから外して使う事も可能である。言ってみれば、予備を2本持っている様なものである。ちなみに、これまでZETAのピボットレバーを使って来たのだが、アーマーハンドガードを常備する様になってからは、純正のレバーに付け替えている。実は純正のレバーの方がタッチが好きなのである。ただし、ガードを付けていても折れたり曲がったりする時はするので、その意味で予備が多いのは有り難い事である。
ハンドルは共通化の為というより、XR230で楽に乗る為の施策として、ハンドルバークランプキットを装備したのだが、結果として、CRFと同じZETA SX3 ED-Lowを共通化する事になった。この効果は早くも現れていて、こないだの日曜日、谷田部で試走してみたところ、ハンドルの形状や高さに対する不満はほぼなくなった。ただし、もう5mm前に出した方が良さそうな感じである。そうした微調整も可能であるので、大枚かけた価値はあった。
この他にも、グリップもXRにCRFの物を付ける事で、グリップの予備も共用する事にしている。ハンドガードも新しい物を買ったが、別に2台とも新しくしなくても、レースに出る方に新しいのを付ければ良いだけで、まぁ、お金に余裕が出来たら2台目にも新しい物を買おうかと思う。
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