たにしのつぼ焼き

あれもしたい、これもしたい、もっとしたい、もっともっとしたい〜♪

ケロスト

ケロスト賢者タイム

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 ケロシンストーブは、オプティマス123Rを買った頃から欲しいと思い続け、やっとこないだ、オプティマスNo.45を手に入れたのであるが、当初は別にマナスルで良かったのだ。ところが、そのマナスルが製造してないのか、品薄高騰でえらく高く、それで手頃な値段の中古を買った訳である。ところが、手頃な値段だったせいか、レストアにエライ手間が掛かり、結果としてはレストア済みのを買うのと変わらん金額が掛かってしまった。まぁ、技術を身につけたという事で納得する事にした。
 ところが、ローアバーナーでは音が煩いという事で、静かなサイレントバーナーが欲しくなった。しかし、欲しい時には案外ないものであるし、No.45では持ち出しにデカくて不便という事で、その下のNo.00が良いなと思ったら、サイレントバーナー仕様がないという事も分った。となれば、上手くサイレントバーナーを手に入れて、良い感じにくっつけてしまおうと考えた。実際にそうしてる作例もあるからである。
 で、インド製のファロスストーブのサイレントバーナーとか、韓国製のロイヤルストーブのサイレントバーナーも試したのだが、分ったのは以下の事だった。

  1. ファロスのバーナーは、No.45のライジングチューブに無理矢理つけれるが、バーナーヘッドが五徳より上に飛び出す。トッププレートを付けても飛び出して、飯盒の底に当たる。
  2. No.00のライジングチューブにロイヤルストーブのバーナーは付くが、ファロスストーブのバーナーは付かない。
  3. No.00のライジングチューブはNo.45のタンクに付くが、No.45のネジが長いので油漏れを起こす(パッキンで防漏できる)
  4. No.00にロイヤルストーブのバーナーを付けると、バーナーヘッドが五徳と面一になって、飯盒の底の当たる。
  5. サイレントバーナーのニップル穴は、ローアバーナーよりも細い。ローアバーナーのプリッカーが使えない。
  6. ファロス・ロイヤル共に、No.45のローアバーナーよりも火力が劣る。2リットル湯沸かしでローアなら16分で沸騰するところが、サイレントバーナーだと20分経っても沸騰しない。2合炊飯だとローアなら強火4分弱火5分で炊けるが、サイレントだと強火6分強弱火4分で、気持ち半煮え傾向が残る。
  7. どうも圧の抜けが悪い様に感じる。No.45にロイヤルのサイレントバーナーを付けると、ポンピングロッドが勝手に伸びてくる(ローアではそんな事起こらない)

 致命的だったのは6番目で、いくら音が静かでも、定格の性能を発揮できないのでは意味がない。まぁ、ファロスにせよロイヤルにせよ、もともとオプティマスに最適化されている訳ではない。調整が必要なのだが、どうして良いかも分らない。単純に付ける事が出来れば使えると思っていたのだが、そうは問屋が卸さなかったのだ。
 この辺りで、自分がケロストに求めてるものが明確になってきた。自宅用は音が静かで安定感のあるもの、持ち出し用は小型すぎず大型すぎず、使い勝手の良いもの。自宅用としては、No.45にサイレントバーナーがついたNo.48が適していて、持ち出し用はNo.96ではなくNo.00、外用だからサイレントバーナーでなくても可、という感じである。No.48は今年だけでも3〜4台の出品があり、どれも1万円以下であった。No.00は程度により1万から2万である。だとするなら、買った方が良さそうなものである。
 とりあえず、当面は定格の性能を発揮するオプティマスNo.45があるので、それでよして、今後出物があったら、その時考える事にする。







股間焦げる

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 昨日、オプティマス00をいじくってた時の事だ。せっかく取り寄せたポンプロッドが旧タイプだったらしくて、ロッドのノブがネジ式だったのは良いのだが、問題は新タイプはまさかの捩じ込み&接着。やっとの思いで外して、「これじゃ付けられないじゃ〜〜〜〜ん!」とガックリきてたのだが、45のノブはネジ式だったので、それを取りあえず変わりに付けて対応。しかし、気持ちがテンパってたのか、ポンピングテストをしたあと、圧を抜くのを忘れてセンターキャップを外してしまい、灯油が溢れ出る事態に。上手い事いかずにイライラマックスになっていた。
 とりあえず、取り寄せたポンプロッドは使えるし、革カップの方が調子良い事が分って、やれやれホッとしたその時だった。おもむろにオプティマス00がこっち側におじぎして、そのままひっくり返り、全力強火のバーナーヘッドが股間のスウェットの上に落ちて来た。20数年、この手の趣味をやってて、大概な目には遭って来たが、これは初めての体験である。たちまちスウェットを突破するサイレントバーナーのキャップ。キャップが落ちたあとは、理科室のガスバーナーみたいな火になるんだなー、と頭の一部で思いつつ、ともかく火の燃え盛るストーブをどうにかせねばならない。咄嗟にタンクを掴んでPCラックに置き、減圧弁を解放。火は立ちどころに消えた。
 が、熱々のバーナーキャップとそのインナーは、パンツの股間の上を転がり落ちて、スウェットの左足の方は降下中である。熱いのとビックリしたのとで、ワーキャー言いながらスウェットを脱ぎ捨てた。その弾みで、バーナーキャップとインナーはスウェットの外に放り出され、地面のカーペットの上へ。まだまだ熱々なので、カーペットを焦がしてたが、それどこではない。取りあえず、股間と足の点検。フクラハギにちょっとだけ火傷しただけで(無視できるレベル)、バーナーヘッドが直撃した股間は奇跡的?にも無事だった。
 そうなった原因は、こぼれた灯油が噴き残しがあった事、ケロストの足がそれに滑ったこと、らしい。損害は、股間に穴が開いたスウェット、股間部分が焦げたパンツ、以上。オプティマス00は無事、もちろん自分も無事。まぁ、部屋のカーペットが一部焦げたが、その程度で済んで良かった。
 しかし、よくもまぁ、咄嗟に減圧弁を開いて消火できたものである。





過去との対話

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 オプティマス45のレストアがまだ途中の時、試しで湯沸かしをしてみたのだが、2リットルの薬缶を沸かすのに24分経っても沸騰しきらず、とうとう諦めたという事態に直面した。確かに気温も低く、微風があって、風に弱いケロシンストーブには不利な条件である。ケロシンストーブはガソリンやガスに比べれば火力が弱いと言われているが、コールマンのフェザーストーブなら12分もあればボッコボコに沸騰するのに、これでは使い物にならんではないか、と感じた。
 しかし、植村直己は最後の最後までケロシンストーブを安全上の理由で使っていたというし、さらに遡れはヒラリーやアムンゼンといった探検家や登山家も、ケロシンストーブを使っていたのである。まぁ、アムンゼンくらいの時代になると、他にポータブルストーブが無かったという事情もあったろうが、にしても、こんな使い物にならんもので甘んじていたのかどうか、かなり疑わしい事になってきた。他に使える物がない、あるいはガソリンより安全という理由で、ぬるま湯しか作れないストーブでも、有り難がって使っていたのであろうか。
 結論からいうと、定格の性能を発揮する様になったオプティマス45は、それほど性能の悪いストーブではなかった。2合の飯を炊くのに、強火で約4分、弱火で約4分半。2リットルの薬缶を沸騰させるのに約14〜15分。この数字は、コールマンのガソリンストーブより10〜15%ほど火力が落ちているだけの数字である。風除けを工夫しても風の影響を受けない訳に行かない分のロスの様なものである。つまり、当時においても現在においても、十分に使える道具だった、という事である。なるほど、そうでなければ廃れてたっておかしくはないのだ。
 今回、期せずしてケロシンストーブのレストアをする事になったのだが、その過程で、このストーブが特許を取った126年前まで軽く想いを馳せる事が出来たのは、今回のレストアの一番の成果だったと思う。イギリスの史家、E.H.カーはその著書『歴史とは何か』の中で、「歴史とは、現在と過去との対話である」と繰り返し述べているのだけど、今回のレストアを通じて、自分はほんの少し、過去と対話出来た様な気がする。レストア済みのものを買っていたら、この体験は出来なかったろう。





レストア中間報告

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 10月15日に古いオプティマスNo.45が届いてから、ずっとレストアの日々なのだが、ようやく昨日、定格通りの火力を発揮するところまで持って来た。まだ作業が終わった訳ではないのだが、ここまでのレストアと初めてのケロシンストーブの使い勝手で感じた事を雑記しておく。
 まずレストア作業であるが、それをやる事に直面した時は、非常に面倒くさい感じがして、下手をつかまされた気分になるのだが、作業そのものはそれほど難しいものではない。工具があって段取りが分れば、どうにも手がつけられないほど難しいものではなかった。もちろん、ネットで情報を集めたり、日本飯盒教会のフォロワーさんからの手厚いアドバイスがあったればこそで、それがなかったらここまで持ってくるのは無理だったろう。
 不完全ながらも使えるレベルまで持って来たのだが、実際に使ってみての感想は、風に弱く火力が弱いなぁ、という事だった。具体的には、2リットルのヤカンを沸かすのに24分掛かってもボコボコと沸騰しない(コールマンのフェザーストーブなら約12分でボッコボコ)、2合のメシを飯盒で炊く場合でも、強火5分弱火6分で、強火も蓋が持ち上がるほど沸騰しない。そして弱火もうっかり弱過ぎたりすると、風で直ぐ火が消えてしまい、慌ててマッチで再点火しなければならない。火力云々の使い勝手でいうなら、コールマンのガソリンストーブの方が全然が安心してメシが炊けるし、湯も沸かせる。これらと比較するなら、確かに火力が弱いという事になる。
 しかし、比べる対象が間違っているのではないか、という事に気が付いた。ケロシンストーブが特許申請したのは、1889年の事である。今から126年も昔である。それに対して、コールマンの442や550は1980年代の製品である。ケロストに対して、軽く100年後の未来の製品なのだ。蒸気機関車と新幹線の違いなのだ。そりゃ、性能が劣って当然である。しかし、今でも蒸気機関車のファンは多いし、ケロシンストーブもまた然りなのだ。
 その魅力については、ここでは一々述べないが、大事な事は、126年前の目線を持つ必要がある、という事だ。そうでなければ、このストーブを現代においても活用する事は出来ないのではなかろうか。それを踏まえた上で、出来る限り現代製品に近い性能を引き出す工夫とか、使える条件とか環境とか、そういったものを見出せば良いのではなかろうか。別に、新幹線を蒸気機関車の代替として使おうとする必要はないのだ。

 と、偉そうな事を書いた訳だが、実はがっかりした結果、自分の中で折り合いを付けたのが上記の考察である。本当は、自宅のガスコンロの代わりにこれが使えたら、道具も無駄にならず、ガス代も浮くだろうと考えたのだ。まぁ、ガス代の方が安そうだから、道具を使える事の方が大事だったのだ。実際、飯盒は飯盒で炊いた飯の方が美味いので、炊飯器を片付けさせる威力を発揮した。それに近い事をケロストにも期待したのだ。ただ、その期待にケロストが応えそうにないので、目線を下げただけの事である。
 なので、あくまでこれは趣味の道具、現代的な実用に供するにはチトしんどい、と考えるべきである。





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