実は前々から気になっていたのが、資源ごみとしてのアルミ缶である。よくホームレスのおっさんが、袋いっぱいにアルミ缶を集めているのを見かけるが、あれを売って生計を立てているという。昔は段ボールだったけど、最近はあまり見かけないな。とにかく、アルミ缶の方が実入りが良いのであろう。
 しかし、これまで自分でそれをやろうという気持ちはなかった。というのも、都内に住んでいる限り、アルミ缶を売りに出せる所は限られているし、そのホームレスのおっさんと競合するのもなんだし、そもそもワザワザ集めて回る方が手間であると思っていたのだ。
 とろこが、職場では毎日アルミ缶が出ていて、それをまとめて業者に持ち帰らせている。よくよく考えたら、それを貯めてアキバとかのガード下にありそうな回収業者にもって行けば、いくらかの金になるんじゃないかと考えた。調べてみると、アルミ缶は1kgで50〜150円くらいで買い取ってくれるらしい。まぁ、ホームレスのおっさんがそれで生計を立てるくらいなんだから、それなりの金額にはなるという事だ。しかも、わざわざ集めて回らなくても、出てくるのであるから、それを貯めておけば良いのである。
 で、それを提案してみたのだが、反応は芳しくなかった。まぁ、面倒くさいのであろう。つまり、再利用する気はないという事だ。しかし、それならそれで結構なのだ。実は今住んでる街には、買い取り業者が3軒ほどあるからだ。つまり、むざむざ廃棄される資源ごみは、自分が毎日ありがたく数個ずつ持って帰れるという事だ。
 ここからは技術的な話しである。アルミ缶はそのままでは嵩張るので、これまでも潰して捨てていたのだが、その潰し方は、縦にぺしゃんこにするやり方をしていた。その方が投射面積は小さくなるからだ。ところが、その潰し方だと買取値段が下がるそうである。理由は圧縮してブロック状にするときに零れ易いからだそうだ。あと、それがアルミ缶なのか分かりにくいとか、中に吸い殻とか、悪い奴になると砂入れて嵩増しする奴もいるそうだ。だから、横にぺしゃんこにするのが正解らしい。



 さて、ここまでしなきゃならないほどに、金に困っているのか?という事である。実のところ、金にはそれほど困っていない。有り余るほどではないが、乞食せないかんほど困っている訳ではない。じゃぁ、なんでこんな事するのかというと、「ゴミが金に変わる」という展開が好きなのだ。うちのオカンは高度成長期前に子供時代を送った人だが、よく磁石で道端の釘を集めて、屑鉄屋に売りに行く話しをしていた。それの現代版みたいなもんである。
 この手の話しは、昔もあって、まだ争議やってた時だが、駅頭で配ってるティッシュを大量に集めて、中の広告を抜いて、自分のビラを入れて駅頭宣伝で配ってた。その方が受け取りがよいからだ。今でこそ労組の宣伝行動では当たり前になっているが、自分が嚆矢だったと自負している。
 金というのは、売買や労働を介するか、投資によるしか増えないものであるが、ゴミが金になるというのは、素敵な事だと思う。誰にも迷惑かけずにやるなら、なお良しである。