昨日は泊まり番だった訳だが、例によって例の如く、終電1本前に終了。今夜はマイハーモのサーバからデータを抜かなきゃいけないので、帰れて良かった。しかも、仕事中にシゲキックスを奥歯で噛み締めたら、奥歯の銀が取れてしまったので、今夜中に帰れたのは上出来だった。朝から歯医者に行ける。そんな訳で、ワクワクしながら部隊本部に帰ってきた。
 と・こ・ろ・が、である。ドアを開けた途端に、かすかな異臭がする。ネコのビッチーの臭いである。やれやれと思いながら電気をつけてみると、コリはビックシ! 砂箱の、まさしくコーナーにビチビチがしてあって、しかも途中からそれが箱の外側の縁に垂れて、もろカーペットにべったり落ちているのである。怒ぉ〜!! これは怒り心頭、怒髪天を突くの瞬間であろう。こんなにスペースが空いているのに、選りにも選って端っこにおっちんし、ビチビチをカーペットにぶっかけているのだ。なんぼ仕事が少ないとは言え、会社と家の行き帰りで疲れているのである。帰ってきて一番最初にやりたい事と言えば、冷蔵庫から氷を出して、紅茶を冷やしてゴクゴクやる事だろう(下戸のオレの場合)。なのに、なのにである。一等最初にやるのが、ネコのビッチーの後始末である。腹が立つやら情けないやら。しかも、カチグソなら諦めもつくが、ビチグソである。もやは「おお、神よ!」と叫びたい気分をある(近所迷惑なので叫ばなかったが)。
 兎に角、腹が立つ。虫が納まらない。どうにかして、オレ様の絶望と苦労を、ネコめに思い知らせなくては、気が済まない。やおら、表に出て、寝ぼけ眼で体をナメナメしている(オレが帰ってくるまで、原チャリのシートの下で寝てた)ネコをひっつかみ、ビッチーに鼻をギリギリまで押しつけて、散々に文句を付けてやった。ネコといえど、自分が怒られている事は良く判るのである。散々に悪態を付いた後、止む得ず半泣きになりながらビチビチの後始末に取り掛かったが、その作業も一部始終を見させた。不思議なもので、こういう時のネコというのは、薄目になってじっとしているものである。もちろん、ぶん殴れば宙を飛んで逃げて行くが、動物愛護主義者のオレは、軽く叩く程度以上の打撃は加えない。だからであろうか、じぃーっと作業が終わるのを待っているのである。ネコがやっと移動をしたのは、畳を拭こうとしてカーペットを裏返しにした時だった。つまり、それまでの間、ずっと自分のビッチーが片付けられて行く様子を見ていたのである。あの、都合の悪い時にする、薄目になって眠たそうな顔をしながらである。
 この話しを聞いて、「たにしさん、不潔〜」と思う人は、ネコを飼った事のない人であろう。ネコを飼った人なら、大概一度はこういう事態に直面した事があるのではないだろうか? カーペットの上にビチビチをされる事くらい、脱力する事はない。その絶望感は、大型二輪免許の10回目の試験に落ちた時よりも深い(11回目で合格した)。だから、ネコを飼った事のある人なら、ネコがどんなに大きな砂箱を用意しても、端っこの方でうんこおしっこをしてしまう事、そしてそれが狙いが外れて床に達している事がままある事を、よくよく理解してくれると思う。