実はつい最近はまで、寺崎さんの本は「さすらいの野宿ライダー」と「どこだって野宿ライダー」くらいしかない、と思っていたのだ。この本は1986年から1988年まで月刊「OUTRIDER」に連載された記事を単行本化したものとの事。「OUTRIDER」という雑誌は、昔も何度か本屋で見かけた事があるが、最近の誌面では、この本の様な泥臭いイメージが全然ない。何でも一度廃刊になって、その後、出版社を変えて再刊されたとの事である。
読んでみての感想は、とにかく寺崎節が炸裂していて面白い。抱腹絶倒と言っても過言じゃない。大体紀行本というのは、行く先々で見たり聞いたり知り合ったり触れ合ったものの感動をしたためた物が多いのだが、この本は、とにかく食いまくり、飲みまくり、エライ目に遭い、入った店はロクなもんじゃない、というドタバタに徹している。まぁ、マジやばかった事も無かった訳ではないだろうが、寺崎さんが書くとおもしろ可笑しくなってしまう。それでも寺崎さん一人だったら、ここまで面白くは書けない(書かない)んじゃないかと思う。写真家の太田潤さんが相方でいたから、お互いを茶化して書けて面白くなったんじゃないだろうか。自分もそうなのであるが、一人でミリタリーイベントに行っても、ささっと見て回るだけでロクに買い物しないのであるが、5月におっ死んだO君がいたりすると、ギャーギャー騒ぎながらアレもコレも買ってしまう(というか買わされる)事が多かったものである。
技術的な意味で面白いな、と感じたのは、この本では様々なバイクが使われているという事である。もっぱらオフロードバイクなのであるが、時たまアメリカンだったり、ヨーロピアンツアラーだったりする事がある。まぁ雑誌の連載記事な訳だから、色んな車種を試み、様々な読者に対応する必要があったのであろう。また同時に、自分みたいに「竹馬みたいなバイクなんか乗れるか」と思っているオンロード野郎でも、林道野宿は出来るんだよ、という事を示す大事な役割を果たしたんじゃないだろうか。また、言うまでもなく、野宿可能な林道を紹介するガイドブックの役割も持っていたに他ならない。インターネットなぞなかった世の中だったのだから、この種の情報は貴重であったに違いない。
惜しむらくは、自分はこの本を当時は読んでなかった。まぁ、勉強不足であった訳だ。今でこそネットであれこれ調べられる時代であるが、そういうのがなく、しかもこうした本の存在もしらない、という事になれば、自分一人だけで単調なバイクライフを送る他なかった訳であるから、そりゃ詰まらなかっただろうなぁ、と思い返す訳である。
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