昨日、会議までの待ち時間に神田神保町の書店街をプラプラしていて、見つけたのがこの本。ミリオタならぬミリオン出版から出された本で、言うまでもなくミリタリーコーナーに置いてあった。
最近、廃墟ブームとかで、廃墟探検を扱ったサイトを幾つか見かけた事があるし、長野県の松代大本営跡を代表とする様な戦争遺跡という言葉も見掛ける機会が多い。この本はそのどちらのカテゴリーにも入る本だが、特筆すべきは「写真集」だという事だ。プロの写真家が撮ったからと言えばそれまでだが、本来まがまがしいはずの廃墟や遺物が、とても美しく写っているのだ。それは人為である戦争を賛美する意味でなく、情景として、物体として美しい、と言う意味である。人間が介在しないからこその美しさかもしれない。そこで不安と緊張の面持ちで待機する人間が、あるいは撃ち砕かれぐずれた人間が、もしくは物珍しい物を前に笑顔でピースサインしている人間が、一緒に写り込んでいたら、まず決して美しくはないだろうと思う。
この本には、元特攻隊員の(見る人が見れば)特攻賛美と後世批判とも取れるインタビューが載せられている。しかし、これはこの本のサブタイトルに「昨日の事は昨日の眼で見よ」とある様に、極めて重要な事である。後世の我々は後知恵でいくらでも過去の戦争を批判する事が出来る。しかし、当事、その兵器や陣地を作り、それを使う人々がどの様な気持ちを持っていたかを知らなければ、かつての戦争に迫る事も出来なければ、理解を深める事も、反省する事も出来ないだろう。著者の石本馨氏があとがきで書いた様に、撮影現場に「誰か」を感じられたのは、まさに昨日の眼でファインダーを覗いたからである。
最新記事
最新コメント
Links
Archives
記事検索
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
Categories
TagCloud