CRF450RX
今回も多くの参加者が動画をアップしているのだが、珍しくも走行中の自分が何度も登場する動画を見つけた。この人はレディースBクラスで参戦し、総合順位は自分の2つ上であった。レディースクラスであるから、出走順は自分のCクラスよりかなり後であるにも関わらず、それに追いつき追い越した、という事である。この動画には、その様子が克明に記録されていた(かも5、かも6、かも7、かも8)。
総評として、この方は自分よりも明らかに車速が速く、それ故に自分を追い越して行けたのだが、その一方でミスもそれなりにあり、ほとんどミスしなかった自分がその度に抜き返して行く、というのをくり返している。しかし、最終的には車速のある方が上位に立ったという事である。決定的なのは、後半のだらだらと長い下りのウッズで、完全に車速が落ちているだけでなく、疲労困憊してその先でアクセルを開けれなくなっている事だった。実のところ、今回の勝沼戦で一番難儀したのが、あの下りのウッズだったの。もっともそれは今に始まった事でなく、2009年に初めてクロスパーク勝沼に行って以来の宿痾である。
他の人の動画を見ていると、そこまで速くないまでも、自分ほど難儀して下っている人というのは、数えるほどしかいない。基本的に下り坂なので、登りより楽なはずなのである。その下りでそれほど難儀する理由を考えてみた。まず、自分は基本的に下りが苦手である。昔から山道や階段を下るのも苦手である。自分の意のままにならず落ちて行くのが本能的に苦手なのだ。下りで怖いと感じたら、安全に降りる為にはブレーキを使って速度を調整するのが普通であるが、問題はブレーキを掛けるという事は減速Gが体に掛かっているという事でもある。短い距離ならそれも辛抱できるが、それが長いとなると結構疲れる。つまり、自分はあの長い下りのウッズで、常時、減速Gを体に受けて、それに堪えている。それは疲れて当然である。
あの程度の斜面で、減速せねばならないほどに、苦手なのだ。木にぶつかるかもしれない、段差で前転するかもしれない、滑って斜めに転けてしまうかもしれない。そう感じてるから、より慎重にいこうとし、ブレーキ当てて徐行し、結果、常に減速Gを食らい続け、かつ登りが来たら今度は加速Gと戦い、という具合で、あのウッズを抜けた頃には疲労困憊の体なのである。そして、こうした苦手なセクションがあると、どうしても全体的な車速もそれに準じたレベルになってしまう。車速が遅い人は大体セクション対応に準じた車速で一本調子で走る傾向があるが、自分もその例に漏れないという事である。
苦手な事は、繰り返し訓練を積む事で慣熟していくしかない。勝沼では他にも苦手な下りはいっぱいあったのだが、今回、それほどの苦手意識を持たずに済んだのは、その成果である。こうした苦手を一つずつ潰して行き、また意識してメリハリある操縦を心がけ、楽に乗れる様にしていかねばならない。
昨日、トランポのバッテリー交換をしてから、CRF450RX“ゲイレルル号”の「高さ調整」に行って来た。高さ調整という言い方はおそらくおかしいのであろうが、要するに足を着く様にしてくれ、という事である。全くのノーマルのままだと。足指が地面に着く程度で、立ちゴケでさえ踏ん張れないのだ。もっとも、これは去年試乗した時から分かっていた事だが、納車整備の時にエンジンと一緒にやらなかったのは、まずは乗ってアタリを出すためである。ちなみに、新車時のサグは102mmだったが、前回の慣らしでこなれたみたいで、今回測ってみると108mmになっていた。
やってもらった事は、CRF250R“モルゲンシュテルン号”の時にやって貰ったのと同じ事である。すなわち、フロントフォークの油面を下げ(60cc抜き、約57mm)、プリロードを抜いて(2回転、-3mm。SET長234mm→237mm)サグ量を多くし(119mm)、フォークを突き出す(9mm)。スプリング自体は、RのソフトスプリングがRXは標準になっているので、そのまま使う事にした。あと、リアサスのダンパーの伸側を5から8に合わせた。これだけで足が拇指球の辺りまで着く様になった。圧側のダンパーは、慣らしの時に前後とも最弱にしたのだが、おそらくこれでは乗り難くなっているはずである。次回乗る時に、いよいよ真面目に調整しなければならない。
今回の型から、これまで使ってたハンドルクランプキットが使えない、という事で、仕方なしにRXクランプでファットバー化したのだが、これはクランプの高さが変えれない。そこで、ハンドルクランプキットのロアークランプが使えるか試したのだが、ボルトの太さや長さが合わなくて使えない事が分かった。しかし、フロントフォークの突き出し量がモルゲンシュテルン号と同じになったせいか、RXクランプのままでも違和感がなくなった。実は、モルゲンシュテルン号でも突き出し量を増やしたら、45mmのクランプではハンドル位置が高くなって35mmに落としていた。
跨がってみた感じは、モルゲンシュテルン号とほぼ同じ。「これならやれる!」という感じに仕上がった。こういう「身の丈にあった」調整は絶対に必要だし、自分で出来る知識や技術がないなら、専門知識をもったバイク屋に頼んででもやるべきである。でないと、せっかく高い金出して買ったバイクを、十分楽しめないからだ。
日曜日にCRF450RXを一旦引き取ってきて、費用の残金も支払いが終わった。今回は車両価格も250より高いし、様々カスタムするという事で、事前に何度も予算の見積もりをして、がっちり予算を編成してから事にあたったのであるが、結果としては相当金額の予算が残った。理由は、エンジンの作業にかかる費用が、新品の分解結合だった事もあいまって、当初の予定よりも大幅に低くなった事。足回り、ストッパークラッチは、とりあえず乗ってみてから検討する事になり、その分の予算が浮いた事である。具体的な数字としては、160万円の予算を準備して、とりあえず支払ったのは127万円弱であった。車両価格が98.28万円であるから、プラス30万円くらいである。外装もデカールも、シートカバーもスロットルカムシステムも、全部入れての金額であるから、相当なお買い得感がある。
お金が浮いたから、という訳ではないが、ラジエターファンを付ける事にした。おそらく、スリッパークラッチよりも、こちらの方が入り用になるはず、と踏んだからだ。また、アワーメーターを今回も付ける事にした。ファンもメーターもトレールテックのである。CRF250Rに使っていたZETAのハンドルバークランプキットは、CRF450RXに付かない事が分かったので、ファットバー化する為にRXクランプを取り寄せる事にした。まだCRF450RXに対応するハンドルバークランプキットが出てないからだが、出たら出たで買い替えるも良し、RXクランプで都合良ければそのままで良し。これらの装備を買っても、予算にはまだまだ余裕がある。
サスのスプリングは、CRF450RのソフトスプリングがRXでは標準の設定になっているらしく、確かに柔らかいと言えば柔らかいのだが、モルゲンシュテルン号に比べたら車高が高い。アタリが出てきたらまた違ってくるかもしれないが、現状では勝沼などのプチハードなレースでは結構怖いと思う。いずれ対策せねばならないと思う。また、スリッパークラッチは今回見送ったが、ゲレンデを降下する時などは威力を発揮しそうだし、これも後日付けるかもしれない。なので、予算が浮いたからといっても、他に転用するのではなく、その分は取っておいた方が良さそうだ。
かつて、スクールで450に乗ってる先輩方の、450に乗ってる理由というのがイカしてた。曰く、
「450だとあまり回せないからエンジンが長持ち」
「この趣味してて、一度くらいは450乗ってみたかった」
「450乗るなら、今の歳をおいて後はないかな」
などなど。無論、自分より出来る人たちだったけど、「450のどっかんパワーが要るんじゃ〜!」という人ばかりでないのが印象的だった。むしろ、450というと、「パワー有り過ぎて乗りこなせない」という人が多い中、自分の夢に忠実だったり、意外と経済的な見方をしてたりで、興味深い印象を残した。とはいえ、その時点で自分が450に乗り換えるなんて事は、あまり考えてなかった。正味の話し、下し金の上でカボチャの皮を全力すり下ろす様な重々しいトルク感が苦手に感じていた。
去年の年末に、ホンダがCRF450RXを出した時、まず自分が関心を寄せたのは、セル付きである事とモードスイッチが付いた事だった。むしろ、250で出してくれたら良かったのに、と思ったもんだが、とりあえず試乗した感想としては、重々しいトルク感がなくてスムーズである一方で、エンデュランサーとしては足付き悪いなぁ、という事だった。むしろ、パワー的には「これ、乗れるんじゃない?」くらいに感じたのだった。つまり、足さえ着けば、別にエンジンは回さなくても良い感じに乗れる、と思ったのである。
となれば、必要となってくるのは予算である。予め貯めておいた買い替え基金は70万円だった。これは250クラスの買い替えを想定していた金額であるが、450となると一気に100万円は必要である。それと、これまで乗ってきたバイクの乗りやすさを最初から得る事、自分でも乗りやすく仕上げる事、あと若干の見た目のため、エンジンのDLC/WPC/モリショット加工のためのエンジン脱着工賃に約25万円、外装やデカールを含む艤装品に15万円、サスのソフトスプリングやローダウンのために5万円、合計45万円が別に必要となる。また、その後、スリッパークラッチも搭載した方が良さそうという話になり、さらに15万円追加。合計で160万円必要と計上した。
足りない分は、今年の夏冬の一時金を全額投入する事で賄う事にした。計算した時は軽くめまいがしたが、よく考えてみれば、XR230“パンツァーファウスト号”には合計165万円も突っ込んでいるのである。それに、もしかしたら、人生最後の買い替えになるかもしれない。おそらく最後までヘボいままのライダーであるとは思うが、450まで行き着けば、それなりの事やったって事にもなるかもしれない。だったら、最後の最期でドンと詰んでも良いだろう、と考えた。幸いにして、CRF250R“モルゲンシュテルン号”は、装備品込み込みで25万円で売れる事になったので、若干の予備も作れる事になった。あとは、よほどの突発的な事情、例えば、巨乳の眼鏡っ子の嫁がいきなり出来たり、という事情が起こらない限り、計画を挙行する事とした。(続く)
こないだ、28年前に亡くした猫の事を書いて、ふと感じた。あの猫の事だけは、今、思い出しても涙するくらい後悔があるのだけど、それは全力を尽くし切らなかった思いがあるからなんだと。もちろん、その時、自分は精一杯だった訳だけど、後になってから、ああすれば良かった、こうすれば良かったと、感じてしまうのは、やっぱり「やり切った」という思いが持てないからなんだと思う。
猫に関して言えば、その後、2匹亡くしているのだけど、そのどちらの猫に対しても、初代の猫の様な思いはない。それぞれに、亡くなるに至る経緯はあり、残念な事をしたという思いはあるけど、必要な経費を投じ(それが出来るだけの職に就き、財も持ち)、最期を看取り、宗教的手続きを以て葬れた事が、初代猫の様な「積み残した感」を残さない理由なのだと思う。
趣味に関して言えば、自分は日本原初のサバイバルゲームプレイヤーの一人で、以来、断続的に20年間続けて来たのだけど(後述する争議の間さえも、辞めはしなかった)、率いていた部隊が、自分がとうとう最期の一人になってしまい、その世界から足を洗う事になった。たかだか趣味の話しであるけど、20年である。自分の人生そのものと言っても差し支えなかったのだが、それがある日、パタンと終わってしまった。時期が、争議が終わって、それでも就職できなかった時と被ってしまい、何もかも失って、全くの虚無に陥ってしまった。……でも、今になって後悔がないし、サバゲーをまたやろうとも思わない。色々悩んだり、苦労したり、辛い事も、達成できなかった事もあったけど、やりたいと思った事はやりきった。もう、やりたい事が残ってなかったんだと思う。
30代前半の争議は、文字通り、人生賭けた闘いであったし、ある部分、人生を棒に振りもしたと思う。3年闘って、終わった時には、まるで敗戦国の復員兵の様な心境だった。再就職がなかなか決まらず、絶望を通り越して、このまま孤独死するんじゃないか、という思いに押しつぶされそうになっていた。……でも、やはり、今になって後悔がない。それは、その争議を、自分の持てる力と知識と忍耐で闘い抜いたからだと思う。争議を始めるのも、それを終わらせるのも、自分の決断だった。自分の責任において決心し、死力を尽くして闘った。終わった時の虚脱感は、結果に対する大いなる不満だったんじゃないと思う。文字通りの虚脱だったんだと思う。
その他にも色々あるが、成功した部類でも6分4分、大抵は失敗したと感じているのだけど、それでも時間が経った今となっては、後悔はない。その時々を必死に頑張ったんだと思う。
そして今、先々、残り時間が少なくなって来た感じもあるのだけど、まだまだ馬力出せる今、やはり、中途半端に終わらせてはならない事がある。バイクの事だ。結果も出せず、努力も足らず、大方の人も相手もされなくなった訳だけど、だからと言って、「所詮、自分はこの程度」と思ってはダメだ。結果がどうのとか、人がどう思うとか、そんな事はどうでも良い。必要と思う物を買って、やりたいと思う事をして、思い残す事なく楽しまないと。
具体的には、新しく出たCRF450RX、もしくは来年辺りに出るであろうCRF250RXに乗り換える方向で、諸般、研究を進めてみようと思う。やはり、ちょっとでも心ときめく物を横目で通り過ぎるのは、後悔を残す元である。
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