たにしのつぼ焼き

あれもしたい、これもしたい、もっとしたい、もっともっとしたい〜♪

漫画

星守る犬

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 この作品はたしか連載されている時に、一部だけ読んで(「一等星」の川村少年がコンビニで盗み食いするシーン)「最近、この手(育児放棄)の話し多いよなー」と思っただけで、その後忘れていた。たまたま古本屋で見つけて、手にとって立ち読みしたのが運の尽き。自分も滂沱の涙の一員になってしまった。映画化された、という話しも知ってはいたが、数多くある動物ものの映画だと思っていたのだが、まさかこんな話しだとは思わなかった。
 中身については多くの人が感想を述べているので、細々とした事は述べず、自分が感じた事だけ書くが、まず一つは「星守る犬」の「おとうさん」の執着のなさと、もう一つは「一等星」の少年「川村哲男」の生存力に驚いた。普通、全財産つまった財布が無くなったら大事で、盗った奴を探しまくると思うがそうもせず、それが決定的原因で「おとうさん」と犬のハッピーは死ぬ事になる。でも、その死んでしまう事自体にも執着がない。「川村哲男」は育児放棄されて、あまりの空腹にアチコチの店で盗みを働き(決まってコロネなのだが)、恩人の財布までも盗んで旅を続ける。当然の事ながら、盗みは犯罪であるし褒められた事ではないのだが、「どうにかして生きる」という強い意志(そんな風には描かれれていないが)を感じた。
 前者は何もかも失って最後は死ぬ話しだし、後者は生きんが為に手を汚す(しかも前者を死なす)話しであるにも関わらず、「救いがない話し」でないところが、この作品の救いなんだろうな、と思う。この作品で描かれている悲喜こもごもは、どんな人も大抵は経験してる事だし、あるいは経験する可能性のある事なので、自分を登場人物に投影しやすい。そして「救いのない話し」というのは、いつまでも自分の心の中に残っているのだけど、この作品を読む事でその思いが救われた気持ちになるんじゃないかな、という風に感じた。
 こんなに泣いたのは、3年前にくろすけが死んだ時以来である。泣かせる作品は良い作品である。





幸せな時代の「ビンボー生活」

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 自分が18歳で東京に出てくる時に参考にした本が2つある。一つは松本零士の『男おいどん』、もう一つがこの前川つかさの『ビンボー生活マニュアル』だ。参考にしたというか、ある意味、理想とした本である。従って、初めて住んだアパートは四畳半一間、共同トイレ、風呂なしである。既にバブル期に突入していた「幸せだった日本」では、若者はワンルームマンションに住むトレンディーな生活が常識化しつつあった時代だったのに、自分はあえて貧乏くさい生活を志向したのだ。まぁ、財政的な見地からすれば、これはあながち間違った選択ではなかったのだ。今もってして、我が貧弱な収入をもって自立した生活を維持しあるは、まさに居住費用の廉価をもってして実現しているからである。
 さて、貧乏くさい自画自賛はともかくとして、この本の何が良かったかというと、その冒頭部分に「超近代的思想&ファッション」におけるビンボー生活を実践するためのアイテムが紹介されている事である。机かわりの新聞紙、灰皿かわりの空き缶、電気ポット、割り箸、紙袋、革靴、ブリキのコップ、カセットコンロ(のボンベ。コンロは隣りの学生から借りる)といった、一人暮らしをした事がない人でも、一応これだけあれば何とか生活出来る、という水準のアイテムがマニュアル化されているのである。あと、ホカ弁のノリ弁とか牛丼の話しなんかもあるが、この漫画で「ビンボー生活マニュアル」として価値があるのは、最初の3話に尽きると言えよう。
 この「ビンボー生活」とこれまでの自分の生活機材を比較すれば、上京極初期を除いて、遥かに自分の方が勝っている。机もあればテレビもあるし、そもそもMacやデジカメ(しかも一眼レフ)、バイクまで持っているのだから、とてもビンボーとは言えない。しかし、アルコールバーナーでメシを炊いたり、レギュラーガソリンでガソリンバーナーを燃して紅茶沸かしたりする辺りは、この漫画の方向性をある部分で踏襲している。決定的な違いは、この漫画の主人公は、ノリ弁や牛丼、カップラーメンが主食なのか、自炊をあまりしない、という事である。その点では、自分などは、一人暮らしを始めて最初に買った炊事道具が兵式飯盒であったから(炊飯器を買える金がなかった)、ビンボー度はこの主人公の上を行っていたのかもしれない。とにかく、電気ポットよりもガス台の方が汎用性が高い事は、自炊する政策の中で経験的に見いだしたのだ。
 この本が刊行されたのは、1987年。日本人が戦後もっとも幸せと感じていた80年代後半、バブル期が始まった頃の本である。この本の主人公は、どうやら大学は出たみたいだが、就職もせず、ボケッとした毎日を過ごしている。しかも可愛くてグラマーなカノジョまでいるんだから、幸せそのものな本である(終電すぎても隣りの学生の自転車で帰ってしまうこのカノジョ、二人はかなり清らかな関係であるらしい)。これが、格差社会バリバリの今の時代の話しだったら、就職に失敗した無為な若者、ワーキングプアの悲惨な生活実態を露わにした本、という事になるだろう。あの頃は、日本もワタクシも、幸せな時代だったのだ。





うすバカ二輪伝

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 先日、神保町の書泉グランデの6階にあるバイクコーナーで、このメッチャ強烈な本を発見してから、実は実は気になって気になって仕方なかった。最初は根本敬がバイク本でも出したのか、と思ったら、全然違う東陽片岡という、なんか鉄工所みたいな名前の人だった。でも、このぶっ飛んだ画風、高校の時に根本敬の漫画をガロで読んで以来、好きなのである。
 中身について触れるのは、これから読んでみようというチャレンジャーな人に悪いので、雑感だけ書いておく。まぁ、バイクコーナーに置いてあっただけあって、全編(あ、短編集ね、これ)バイクネタである。が、バイクを下敷きにした青春ドラマでもなければ(ある種青春ドラマもあるんだが)、恋愛ドラマでもない(まぁ、これもある種恋愛ドラマでもあったかな)。ぶっちゃけ「人生負け組」というか、勝ち負けの前に勝負にならない人達が主人公である。つまり、「生まれた時点で、敗北者」(『ルサンチマン』花沢健吾)よりもひどい、自分が敗北者たる自覚さえない人達ばっかり出てくる漫画なのだ。一応、タイトルでは「うすバカ」となっているが、「うす」どころではない、かなりヤバイ人達である。でも、それでも生きてるんだから、ある意味すごいと感じた。社長の悪口言ったとかいう理由で解雇されて3年も必死に争議やってみたり、それで彼女に振られて落ち込んで悩んでみたり、争議が終わってハローワークに行けば行ったで書類選考で17人待ち、なんていうクソ真面目な人生がバカバカしく思えるくらい、ある意味、自信に満ちあふれた作品群なのだ。
 ちっとも爽やかじゃないこの漫画、久しぶりに笑わせてもらったし、せこせこ将来の事考えて実は悩んでたりする自分が、すごくちっぽけに見えてきた。オレも7年ぶりにバイク乗りに復帰して、どっかツーリングでも行くかな!





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