20211110
 自分が老齢年金の事について知ったのは意外と早い時期だった。隣の家のばーちゃんが死んだ時、「あと一ヶ月で年金貰えたのに、勿体ない事したわー」と隣のおばちゃんが言うてた話しを、おかんから聞いたからである。死んだばーちゃんは、あと一ヶ月で65歳だったのだ。そこでおかんから、老齢年金は60歳から支給されるが65歳まで繰り下げたら貰える額が増える事、ただし65歳になる前に死んだら1円も貰えずかけた年金は掛け捨てになる事、60歳で貰うのがいいのか65歳まで待った方がいいのかは、ある意味賭けである、といった話しを聞いたのだ。自分が小学校低学年の頃は、65歳くらいで亡くなる人も多かったから、なるほど確かに賭けだったの。
 言い換えれば、65歳くらいで亡くなる人が多かったから、年金制度もそれなりに稼働していたとも言える。今の時代みたいに、80歳も90歳も生きる様になったら、そりゃ支給する額は半端ないし、そこへ持ってきて現役世代がどんどん減っているのだから、早晩破綻する制度である事は否めない。今の若い人が年金払いたくないのも、分からん話しではないのだ。
 とはいえ、幸か不幸か、自分はその制度に乗っかった世代であるから、やっぱり繰り下げ受給については一応考えねばならない。上のグラフを見てみると、面白い事に男性の平均寿命である81歳くらいまでは、60歳から貰おうが65歳から貰おうが、総額としての差はない。しかし、さらに10年後の90歳となると、その差は700万円にひらいている。この差は大きいと言わざるを得ない。そして、自分が一体いつまで生きるのかは、隣のばーちゃんと同様にまったく分からないのだ。ただ、昨今の状況をみて、70歳そこらでうっかりおっ死ぬなんてのは、なさそうと思っておいた方が無難である。
 そこでふと、「金のない年寄りは悲惨」という言葉を思い出す。何のかんので最後は誰かの手を借りる事になるのだが、その時、金がないと言うのは、ただ単に迷惑な嫌な年寄りである。しかも、もう自分ではどうする事も出来ない。その意味で、やっぱり少しでも多く貰える繰り下げ受給は重要になるかな、と思う。なるほど、定年すぎた65歳から70歳までは収入に空白ができる訳だが、世の中の動きは70歳まで働きましょう、という流れになっている。そのつもりをしといた方が良さそうだ。