another
 U-NEXTで久々に『Another』を見た。2012年に深夜帯でやってた綾辻行人の作品である。本放送を見てたのであるが、小説の方は読んでない。なのでアニメ作品としての『Another』しか知らない。まぁ、原作者には申し訳ないが、絵柄で見てたようなもんである。
 さて、9年ぶりに見てみたのだが、ぶっちゃけた話し、「これって、いじめじゃね?」と感じた。不可思議な死亡事故を防ぐために、クラスの一人を「いないもの」として一年無視し通すというのは、これはいじめ以外の何者でもないだろう。しかもクラスの担任まで加担しているのであるから、これは大問題である。まぁ、不可思議な事故で生徒が次々死ぬ方がもっと大問題であるが、そっちは事故や病気や怪我が原因なので、ある意味、不可抗力である。文字通り「事故」である。しかし、クラスの一人を選んで無視するというのは、人為的であるから、非常に悪質である。しかも、机までボロボロのを充てがうというのは、尋常ならざるものがある。
 9年前に見てた時は、意外にもそうした事には気がつかなかった。「いないもの」にされたヒロインが飄々とした人物で、そういう扱いを物ともしてなかったから、そういう風に感じられなかったのかもしれない。しかし、あれが、メガネの三つ編みの子が「いないもの」だったら、全然違った風に見えただろう。実際、作中でも、過去に「いないもの」扱いに耐え切れなくなった生徒もいたらしい(で、結果、不可思議な事故で生徒が死にまくったらしい)。
 まぁ、作中の設定なので、「いないもの」といったやり方をしてる事自体は批判しないが、自分がむしろ注目したのは、やっぱりヒロイン・見崎鳴の、あの飄々とした、強靭な(見方を変えれば無感覚な)態度、性格だろう。一体どういう経緯で「いないもの」にされたのか分からないが、そういう境遇にあってもあの態度であるから、仮にいじめだとしても、いじめてる方は面白くない。いじめに対する答えの一つを見た気がした。
 自分が子供の頃は、「アホの相手する方がアホやねん」と言われて、バカにする奴がいてもまともに相手にするな、と親から言われたもんである。実際には、木の股から生まれた訳ではないので、頭にも来れば嫌にもなるのであるが、それに耐えうる強靭な性格、もしくはそれを苦痛に感じない鈍感さ、それこそが、世の中生きていく上で、どこかしら必要である。
 作品の本質とは全然関係ない事であるが、そういった点で、ちょっと面白く見直した作品だった。