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 この記事を読んで正直に感じた事は、「なかなか利口な奴だ」という事だった。こんな奴がサービス業やってるのがちょっと不思議なくらいである。むしろ、自分の秘められた才能に目覚めたのか、あるいは副業レベルでやってるのが楽しいのか。どっちにしても、目鼻のきく男である。
 昔でいうなら「闇屋」というやつであろうが、社会も会社も自分を守ってくれない世の中で、自分を生かすためには何だってやらねばならないだろう。むしろそれが出来るかどうか、というのが問題である。立場が逆になった時、自分はこの男みたいに目鼻が効いた商売ができるかどうか、分からない。途方にくれたり、政府や自治体を頼ろうとするかもしれない。実際、会社を不当解雇された時は、労働組合を頼ったくらいである。
 この男に「正義感」などないのは、この記事を読めばわかる。正義感もない代わり、悪い事をしてるという感覚もない。不用品といえども職場の物を他所で売りさばくのは横領なのであるが、そんなのも御構い無しである。「経済を回してやってる」というのは、正義感などでなく、実際がそうだから、そう言ってるだけだろう。転売屋であれ闇屋であれ、需要と供給で成り立っている。転売屋を恨むなら、転売屋から買わなければ良いのであるし、転売屋を撲滅したいなら買う方も摘発すべきである。
 しかし、実際には、闇屋を非難しつつも、闇米を食わねば生きていけない、というのが品不足の世の常である。言ってみれば、転売屋に対する口撃は、単なる愚痴でしかない。
 このおっさんも、本業の方で蹴つまずいてなかったら(それも本人のせいとも思えないが)、こんな事もしてなかったかもしれない。その能力は目覚めないままか、あるいは違う方面で活用されてたかもしれない。その意味では、同情に値するのかもしれないが、やはり同情するより感心する方が先に立つ話しだった。