(2020年5月9日 5時55分 NHKニュース)

 政府が金を出し渋っている時によく流れるニュースであるが、最近はカラクリに気がついた人が増えたみたいで、あまり動じなくなってきている。ここのいうところの「国の借金」というのは、政府がやりくりする家計の事で、日本という国が外国とやりとりする商売上での話しではない。個人の家計に例えると、食費や娯楽費といった生活費は苦しくても、預貯金は目減りせず、ローンも組んでないどころか、兄弟友人に金貸してる、といったところか。「西孝「国の借金」というレトリック」
 日本もかつては、外国に借金してた時代があって、例えば日露戦争の時なんかがそうで、その借金の返済に82年もかかった、なんて話しがあるのであるが、あの当時の日本は、海外に売れるものといえば絹糸くらいで、国民も貧乏で、戦費を調達しようとしたら、外国から借りるしかなかったのである。その40数年後の大東亜戦争の頃は、戦時国債で国民から資金を調達してたのだけど、国のインフラはズタボロになって敗戦、戦争でかかった経費を札束刷って解決しようとして、超インフレになりそうなのを回避するために、国民への借金を棒引きする形で強引に収束させようとした。渡辺智「元銀行員が解説!戦後に起きた預金封鎖とは?」
 今は、別に戦争でぼろ負けした訳でもなく、それどころか海外との商売は順調でそっちの方は金がある。そっちの金に手をつけず、国民の資産を担保にしてた国債(つまり借金)もほとんど国内で消化してるから大丈夫、というのが、「国の借金」説の反対者の理屈である。まぁ、商売の世界では、借金する事は別に悪い事ではなくて、むしろ借金して商売を拡大して儲けを増やす方が利口といった見方がある。それに近い感覚で考えればよいかもしれない。
 しかし、ここで素人考えだけど、不思議に思うのは、そんだけ海外で儲けてて金まで貸してるくらいなら、国民から借金せずにその金を引っ張ってくれば良いのに、と思う。まぁ、そうしないのにはそうするだけの理由があるのであろうけど、また今は調子良くても、その「国の借金」が原因でコケる事はないのであろうか。この分野は不勉強であるので、自分の中にも答えを見出せないのであるけど、ちょっと興味をそそられるテーマである。
 ともあれ、紙幣というのは「信用」で成り立っている。根っから信用するのは個人の自由であるけど、信用の裏側は「不信」である。疑ってかかるのも必要なんじゃないかな。