タンク技師はFw 190開発にあたり軍務とパイロットの経験から、Bf 109のような「速いだけが取り柄のひ弱なサラブレッド」ではなく、過酷な戦場での使用に耐える「騎兵の馬(ディーンストプフェルト"Dienstpferd")」をコンセプトとして開発を進めた。完成したFw 190は強力な武装・良好な空戦性能を持ち、操縦しやすく、最前線でも容易に修理が可能、さらに大量生産しやすい構造という、実用的な兵器であった。 (Wikipedia『フォッケウルフ Fw190』)

 スポーツライディングにおけるバイクへの要求というのは、ライダーによって様々異なると思うのだけど、自分が一番大事に感じている事は、「乗り易さ」だと思う。いくらパワーがあろうが早かろうが、乗り難いバイクというのは乗りこなし難いものであるし、第一乗ってて楽しくない。ベテランの人だって、乗り易いバイクの方が良い、というのである。
 さて、では乗り易いバイクと言うのは何であるか。これはライダーのレベルや体格によっても異なるので、あくまで自分の体感として語らせて貰うと、「足つき、軽さ、旋回性、粘り強さ、力強さ」の5要素だと思う。順番に書いたが、これは優先順位ではない。この5つの要素がバランス良く優れているのが、乗り易いバイクだと感じている。そこで、これまで自分が乗ってきたバイクの評価を、レーダーチャートにしてみた。

crf250r

xr230

crf250rx

crf450rx

xtrainer

 「足付き」は実のところ、エンデュランサーでは最も重要な要素かもしれない、と感じている。一旦走り出したらまず足を着く事はないモトクロスと違って、エンデューロの場合は失速したり怖くて止まったり、前が詰まって止まらざるを得なかったりと、足を着く場面が多い。ましてや坂の途中とか、斜面の途中といった、足元の悪いところで止まる事もあり、「あと3cm足りずにコケた」などと言う事は多いのである。また、ガレ場や丸太、滑り易い路面といった、本質的にはバイクの上に乗ってた方が走破性が良いシチュエーションでも、バイクの上では怖くてまともに乗ってられない、と言う事もままある。そんな時、両足がべったり地面に着くのは「絶対的な安心感」がある。安全が担保されているだけで、ちょっと無理な事でもチャレンジしようと言う気になるのである。ただ、闇雲に足が着けば良いと言うものではなくて、轍に入った時などは、ガニ股で足漕ぎせねばならん事もあるし、地上高が低すぎたらそれこそ走破性にも関わる。基準としては、完全装備で足の裏が地面に着くくらいが理想。せめて足指の付け根くらいまでは着いて欲しいところである。
 「軽さ」と言うのは、基本的にはバイク自体の重量であるが、それ以外にも体感的に感じる重さというがある。例えば、CRF450RXはパワーで直進するタイプのバイクで、ちょっと避ける的な左右の動きをするにも結構体にGが掛かってしんどい。コーナーは言うに及ばすである。ところがクロトレは非常にヒラヒラしてて、体に負担が掛からない。つまり乗り易いのである。無論、車重そのものが軽いからであるが、運動エネルギーが無駄に着いて回らないのである。もちろん、軽いバイクというのは、転けて起こす時も楽である。1回バイク起こす度に1周分の体力を消耗する、なんて自分は感じているので、これは結構大事な部分だ。トレール車から何でもかんでも要らん部分はサンダーで削ってでも軽量化するのは、「軽さ」が重要だからである。
 「旋回性」というのは、端的に言えば曲がり易いかどうかである。コーナーリングの3要素は「体を捻る、車体を倒す、ハンドルを切る」の事で、これはもっぱら体術の部分であるが、メカ的な旋回性の良さは、フレームがしなやかであったり、ハンドルの切れ角が大きいという部分になる。ホンダのバイクはフレームがしなやかで曲がりやすいが、ヤマハは硬くてなかなか曲がってくれない、といったところである。XR230の旋回性が良いのは、トレールトライアルで使われるほど、ハンドルの切れ角が大きかったからであった。小回りが利くというのは、ちょこまかしたウッズなどでは必須な性能だし、楽に曲がれるというのは、それだけで体にかかる負担も少ないので、楽できるのである。
 「粘り強さ」、これは低速でどれだけエンストしないか、そこから再加速が出来るか、といった事である。分かりやすい例を出すと、勢いつけなくてもトコトコ坂道を上っていくバイクである。実のところ、エンデューロでは坂が登れないとか、途中で失速して止まるとか、そういうのが一番腹が立つ。腕前もさることながら、ここはメカ的に頑張ってくれと思う。リアのスプロケをデカくしたりフロントのを小さくしたり、フライホイールやクラッチバスケットを重くしたり、様々な工夫があるのであるが、基本的に低速トルクが乏しいとされている2stで、極めて強い低速トルクを発揮するクロトレは、物凄いバイクである。
 「力強さ」というのは、パワーであり瞬発力である。レースは競争であるから、当然必須の要素である。またレーサーというのは、基本的にこの辺りがトレール車とは比べ物にならないほど強く作ってある。ただ、これも闇雲に瞬発であれば良いというものではないと思う。いわゆるピーキーなバイクというのは、乗り難いものである。なので、弱過ぎず強過ぎず、マイルドでありつつ此処一番はバン!と出る。こういうのが理想である。なので、キャブを変えたりハイスロにしたり、逆にロースロにしたり、皆さん色々に工夫している。ただ、XR230みたいに「そもそもそんなにパワーも無いですよ」というバイクもある。物足りないなー、と感じたら、乗り換え時期である。
 色々ごちゃごちゃ書いたが、これからエンデューロ始めよかって人は、ぶっちゃけ何に乗ったら良いか、これを読んでも解らないと思う。かつての自分もそうだった。そして、ベストテクスクールの渡辺明先生に相談したところ、「自分が乗りたいと思ったバイクが最高のバイク」「自分なんて色で選ぶ」との答えを頂いた。どんなに乗り易かろうが、乗りたいと思わないバイクには乗らないので、これはけだし名言であった。