mortalengines
 この映画はまったく何も知らなかったのだが、たまたまYoutubeで予告を見て惹き込まれた。巨大な都市が地上を疾駆すると言う絵面は、それだけで迫力がある。
 話しの中身は、昔の戦争で文明が崩壊して、生き残った人が縮小再生産の生活を送る中、悪い奴が昔の技術を復活させて世界を支配しようと目論むものの、主人公たちによってその技術もろとも滅ぼされる、と言う定番のもの。その意味で、この作品も目新しさは全然無い。そこで繰り広げられるドラマも、そのプロットの上に乗っかっている以上は、他の作品と大同小異である。
 この手の作品の大なる魅力は、やっぱり舞台装置なんだと改めて感じさせられた。この作品で言うなら、ロンドンを始めとする移動都市や空中都市、楯の壁といったものである。実はこの映画を観ながら、ずっと「この都市の動力や耐用年数、建造費はどんなんだろ」みたいな事を考えてた。その意味では、本作の前日譚の方が興味があると言っても良い。同じ様なことは「風の谷のナウシカ」でも感じてたりするのだ。
 しかし、あんな巨大な都市を動かすテクノロジーって凄いなと思う。そんな凄いテクノロジーがあるのに、都市同士が共食いする様な生き様しか出来ないと言うのが悲しい。量子兵器を復活させても、それを生産力に回すのでなく破壊力にしか回す能しか無いところが救い難い。ここまで荒んだ精神になってしまった経緯こそ知りたい、と思う訳である。
 この映画、そんなに評判が良く無いとの事だが、自分は結構楽しめた。と言うか、映画のストーリーを楽しむと言うより、その世界観をあれこれ考えるのが楽しい。おそらく、映画では描ききれなかった事が原作には書かれているのだろうから、一度読んでみたいものである。