フィールダー取材でいたく反省して以来、2週間、朝も晩もベランダで色んな熱源を使って飯盒メシを炊き続けたのだけど、その結果、それまで自分がもっていた炊飯方法は、かなり間違っている事に気が付かされた。ついでに、火器に対する印象も変わらざるを得なかった。
 最大の間違いは、蓋を取る事の意味だと思う。自分が炊飯中に蓋を取るのは、重湯が噴き出して煮こぼれ、ストーブや床を汚したり、クッカーの外側を汚すのが嫌だった。それ故に、ガソリンストーブみたいな、やたら火力の強い火器はあまり好まず、ガス、アルコールといった、弱火ができる、あるいはそもそも火力の弱い火器を良しとしてきた。結果として、時間をかけて、蓋取りながら、半煮えメシを作る事が多かった。特に屋外においてはである。芯飯なったり、パサ飯になる理由は、なかなか分らなかったのだ。
 そこで今回、改めて飯の炊き方を色々調べた結果、噴き溢れる原因は、クッカーの容量に対して米や水の量が多過ぎないか(所謂、張り釜状態)という部分が重要である事が分った。飯盒に関していえば、水量線が付いているから問題ないが、アウトドア用のクッカーでは付いてない物が多く、ついつい欲張って2合分入れて、弱火でも蓋が持ち上がる状態を作ってた様だ。
 蓋が持ち上がり噴き溢れるから、蓋と取って息吹きかけて、というのも間違いだった。最初の強火で沸騰させる際に、沸点に達すれば蓋は持ち上がる訳だが、そのタイミングで弱火に切り替える訳だ。そうすれば、それ以上はあまり噴き溢れてき来ない。この2週間で、ただの一度も重湯でストーブを汚した事がないのだ。4合の場合、火力が強いと若干噴くが、それでもベタベタになるほどではなかった。つまり、蓋は始終開ける必要はなかったのだ。
 それでもまったく蓋を開けないか、といえばそうでもなくて、最後の重湯の状態を見る時にだけ開けている。今迄は、蒸らしの為に重湯が少し残った状態を良しとしていたが、これも間違い。重湯は完全に米に吸収させないと、ベタ飯の原因になった訳だ。
 今回の実験で、一番驚いた事は、実のところ、火力の強力な火器の方が上手に飯が炊けるという事だった。具体的には、沸騰までの時間が短い方が、底までふっくら炊けた訳だ。沸騰までの時間は、アルコールストーブが約10〜12分、ガスストーブが約5〜7分、それに対してガソリンストーブは僅かに3.5分ほど。弱火も4.5分ほど。最初はあまりに短くて慌てたが(焦げてるんじゃないかと思った)、実はガソリンストーブが一番美味く炊けた。
 となると、これまで軽さとか便利さだけを重視してきた火器のチョイスも、話しが変わって来た。アルコールでも飯は炊ける訳だが、美味さでいうなら、俄然ガソリンだった訳だ。まぁ、ガスでも火力は強いのだが、季節に左右されないとなると、ガソリンだな、という事になったのだ。
 その様な具合で、今回の連続実験は、なかなか実入りの大きいものとなった。やはり、失敗は何とかの母である。