米の飯と言うのは塩さえあれば美味く食えてしまうし、塩の持ち運びは乾燥した粉末であるだけに楽である。しかしパンの場合は、マーガリンにせよジャムにせよ、流動体で瓶かチューブでないと運搬が難しく、特にバターやマーガリンは常温では溶けて腐敗が早い。つまり、短期間ならともかく、常備するのが難しいのである。
 同様の理由で、調理油の常備にも頭を悩ますところである。一番良いのは、リップスティックみたいなバターでもあれば良いのだが、家庭用では明らかに需要がないので、今だ製品化される目処はない。
 ソロキャンプのパン食の嘗め物として、比較的入手が用意で、かつ常温で常備が可能なのは、コンデンスミルクのチューブとメイプルシロップもどきのシロップがある。どちらもパンにも使えるし、ホットケーキにも最適。しかも紅茶にも入れれるとあって、汎用性が高い。油脂系ではバターが少し混ぜてあるチューブ入りマーガリンがあるが、常温ではたちまち溶けてしまい、運搬中にチューブから流れてしまうおそれがある。
 賀曽利隆氏はパンの時はチーズだけ挟んで食べる(というか、飯の時は塩以外使わないという、極めてストイックなツーリング間の食生活をされるらしい)らしいし、寺崎勉氏は魚の缶詰にマヨネーズかけて挟んで食べてるそうである。いずれにしても、嘗め物の運搬が困難である証拠をみる様なパン食の実情である。