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 まだ東京に来て間無しの頃、米軍のパイロットのベストにも入っているというファイヤースターターを持っていた。マグネシウムのブロックにフリントが付いた奴で、ナイフでマグネシウムを削って、その粉にナイフでフリントをスパークさせて点火する、というものである。3000度の熱で枯れ葉でさえ燃え上がらせる、という謳い文句だったが、なかなか火が点かなくて閉口したものである。以来、この種のメタルマッチ系には不信感しか持っていなかった。
 ところが、このLITE MY FIREのファイヤースチールはちゃんと火が点くとの評判である。特別用事は無かったのだが、この動画を見てちょっと欲しくなった。もっとも、この動画で使っているのは、昔閉口したマグネシウムファイヤースターターなのだが、マグネシウムの粉に火が点かなくても、フリント自体はスパークしたのだ。だから、こういうつけ方も多いに出来るはずである。
 さて、買ってきて早速試してみたのだが、アルコールストーブやガスストーブは、フリントをスパークさせる事で点火する事が出来た。右手がギプスなので、ちょっと不器用ではあるが、大体スパーク5回くらいで点火出来る。恐らく、ガソリンストーブもやれると思う。
 そこでちょっと気になったのは、よくこれで枯れ草とかに火を点けてる動画があるが、本当に出来るのだろうか、という事だ。試しにベランダでティッシュに点火してみる事にした。すると、5回くらいスパークさせたら、本当に火が着いた。スゴイものである。点きが悪い時は、スパークさせない様にフリントを削って、それにスパークすると点きやすいらしい。
 その様な訳で、すっかりお気に入りになってしまったのだが、問題はさして使い途はない、という事だ。普段だったらライターやマッチで十分事足りてしまうからだ。せいぜい良いところ、数年に一度も陽の目を見ない防災用品か。あえて不便を楽しむ方向で普段使いにするか、どちらかだ。何にせよ、湿気ったり気化しなかったりという事がない点火具である事には違いない。なかなか優秀である。

 ちなみに、マグネシウム・ファイヤースターターは色んなメーカーが出しているが、中国製はダメらしい。米軍が採用してるのは、DOAN MACH,& EQUIP CO.の物との事。