明日は早番で朝6時起きのだが、寝る前に一筆書いておく。
 寝る前に、シロフサの毛を櫛で梳いてやっていたのだが、しっぽの付け根や足を梳くと、「ぎぁ〜〜〜お」と怪獣みたいな声で鳴く。ちっとも可愛くない。何が気に入らないのか知らないが、とにかく「にゃー」とは鳴かないのだ。
 で、抱っこすると、今度は「ふーっ」と威嚇してくる。まったく可愛げのない奴である。で、突発的に「ぎゃっ」と吠えてきた。ここでさすがのたにしさんも、カチーンと来た。さんざっぱら病院代かけさせやがって、毎回砂箱の外で糞しやがって、挙げ句、これかいっ!
 頭に来て、シロフサの頭をぺしっとしばいたら、巣箱に潜り込んで、ぐぐぐと唸りながら、またも「ふーっ」と威嚇してくる。ここで怒りが爆発した。巣箱を逆さにして、シロフサを放り出し、「気に入らんねやったら、出て行け!」と怒鳴りつけた。
あわてて6畳間の方に逃げ込もうとするから、足で玄関の方に追いやり、「ふーっっ」と威嚇しつつ、土間から上がろうとするのを玄関のドアを開けて、「出て行け!」と怒鳴りつけた。
 あわてて飛び出すシロフサ。さらに追い打ちを掛けて追いかけたら、こんな真夜中に、犬の散歩をしてる人と鉢合わせとなって、バツの悪い事になった。シロフサはといえば、隣の大家さんのガレージのバンの下に逃げ込んでいた。
 ブリブリと怒りながら台所に戻り、シロフサの巣箱のタオルを取り替え、食器を洗いながら考えた。ここでシロフサを追い出すのは簡単である。このままクロスケ抱っこして朝まで寝れば、その間にどっか行ってしまうだろう。かかった病院代はまったくの無駄であるし、年末年始、猫2匹分の用意を実家にさせたのも無駄になる。シロフサの顛末を関係各位に説明するのも億劫な話しである。シロフサは、別に愛玩動物たるの任務を果たす気がないのであるから、のたれ死にしても本人は文句はないであろう。
 しかし、ここで放棄したら、どうにもこれから自分の身にあまり良くない事が起こりそうな気がする。1ヶ月前に、この手の掛かる可愛げのない猫と出会ったのは、どうにも何かの巡り合わせの様な気がする。神から与えられた任務、とでも言おうか。もしそうだとすれば、任務放棄という事になる。当然、それに対する罰もあろう。引っ越しもせねばならないし、無線の免許も取らねばならない。彼女だって欲しい訳だ。いや、それどころか、林道走って転けて大ケガするかもしれないし、場合によっては、せっかく手に入れた職を失う羽目になるかもしれない。
 ふと巣箱を見ると、クロスケが空になった巣箱を心配そうにクンクン臭いを嗅いでいた。せっかく出来た仲間がいなくなって、寂しそうに見えた。仕方ない。任務放棄はいかんな。
 外に出てみると、シロフサは角の電信柱の下で、これからどこに行こうか、という風だった。抱き上げると、うなり声を上げていたが、暴れて逃げようとはしなかった(逃げたら追わなかった)
 巣箱の前にそっと下ろし、背中を優しく撫でてやってもしばらくはうなっていた。酷い目にあえば、信用できなくなるのは当然である。そっとしておくしかないだろう。
 いま、巣箱でうずくまっているシロフサのフサフサになった頭を撫でてやったら、ゴロゴロと小さく喉を鳴らしていた。今夜はこれで寝る。