名称未設定-1

 この季節、いくら南向きのウチの部屋も、さすがに夜になると寒い。呼ばなくても、みりんが毛布の中に入って来る。実はシロも毛布好きなのだが、みりんが入って来ると、居心地悪いのが出ていってしまう。そして、朝までみりんが一緒に寝ている。
 ところが最近、みりんが一緒に寝てると、目が覚めた時に疲れるほど、重厚な夢を見る様になった。今朝もそうだった。

至る所でバイクが倒れ、泥まみれのライダーが途方にくれてる中を、
雲間ならぬ木々の間からの光に導かれ、
荘厳なトランペットとバグパイプの音色と共に、坂を登って行く。
これまで力を貸してくれた人々に感謝し、歓喜の涙を流しながら。
レースの映画なのか、宗教映画なのか、わからん夢を
必死になって走ってるとこで、はっと目が覚めた。
目がさめても、しばらく頭の中でバグパイプの遠音が響いているのだ。

 で、自分の脇には、みりんが黒々と伸びて寝ているのである。もしかしたら、俺が単に寝苦しいだけなのかもしれないけど、黒猫だけに、夢魔だと思った方が面白いので、そう思う事にしている。