かつて、スクールで450に乗ってる先輩方の、450に乗ってる理由というのがイカしてた。曰く、

「450だとあまり回せないからエンジンが長持ち」
「この趣味してて、一度くらいは450乗ってみたかった」
「450乗るなら、今の歳をおいて後はないかな」

 などなど。無論、自分より出来る人たちだったけど、「450のどっかんパワーが要るんじゃ〜!」という人ばかりでないのが印象的だった。むしろ、450というと、「パワー有り過ぎて乗りこなせない」という人が多い中、自分の夢に忠実だったり、意外と経済的な見方をしてたりで、興味深い印象を残した。とはいえ、その時点で自分が450に乗り換えるなんて事は、あまり考えてなかった。正味の話し、下し金の上でカボチャの皮を全力すり下ろす様な重々しいトルク感が苦手に感じていた。
 去年の年末に、ホンダがCRF450RXを出した時、まず自分が関心を寄せたのは、セル付きである事とモードスイッチが付いた事だった。むしろ、250で出してくれたら良かったのに、と思ったもんだが、とりあえず試乗した感想としては、重々しいトルク感がなくてスムーズである一方で、エンデュランサーとしては足付き悪いなぁ、という事だった。むしろ、パワー的には「これ、乗れるんじゃない?」くらいに感じたのだった。つまり、足さえ着けば、別にエンジンは回さなくても良い感じに乗れる、と思ったのである。
 となれば、必要となってくるのは予算である。予め貯めておいた買い替え基金は70万円だった。これは250クラスの買い替えを想定していた金額であるが、450となると一気に100万円は必要である。それと、これまで乗ってきたバイクの乗りやすさを最初から得る事、自分でも乗りやすく仕上げる事、あと若干の見た目のため、エンジンのDLC/WPC/モリショット加工のためのエンジン脱着工賃に約25万円、外装やデカールを含む艤装品に15万円、サスのソフトスプリングやローダウンのために5万円、合計45万円が別に必要となる。また、その後、スリッパークラッチも搭載した方が良さそうという話になり、さらに15万円追加。合計で160万円必要と計上した。
 足りない分は、今年の夏冬の一時金を全額投入する事で賄う事にした。計算した時は軽くめまいがしたが、よく考えてみれば、XR230“パンツァーファウスト号”には合計165万円も突っ込んでいるのである。それに、もしかしたら、人生最後の買い替えになるかもしれない。おそらく最後までヘボいままのライダーであるとは思うが、450まで行き着けば、それなりの事やったって事にもなるかもしれない。だったら、最後の最期でドンと詰んでも良いだろう、と考えた。幸いにして、CRF250R“モルゲンシュテルン号”は、装備品込み込みで25万円で売れる事になったので、若干の予備も作れる事になった。あとは、よほどの突発的な事情、例えば、巨乳の眼鏡っ子の嫁がいきなり出来たり、という事情が起こらない限り、計画を挙行する事とした。(続く)