■首相、安保法反対論を批判 「1億総活躍」担当相新設へ
(朝日新聞デジタル - 09月25日 21:12)


 安保法案、宴たけなわの折り、反戦をテーマにした映画などが次々上映されているのであるけど、『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』が深夜アニメで出たのは、ちょっと気になるな、と思った。この作品の原作を読んだ事がないので、設定など深い事は分らないのだけど、それだけに、率直な印象や感想が語れるんじゃないか、と思う。

 まず、異世界の門がいきなり銀座のど真ん中に現れて、しかも時代錯誤満点の軍勢が襲って来た訳だが、それに対応する警察と自衛隊の対応は非常に早いなぁ、と感じた。警察はともかく、自衛隊の場合、災害出動ならともかく、防衛出動はあんなに簡単に行えるのだろうか。ましてや、敵と分っててもいきなり戦闘(しかも市街戦だ)が行えるのだろうか。まるで、いついつどこに敵が現れるのが予め分ってて、かつ自衛隊独自の判断で戦闘を始める準備をしてたんじゃないか、という印象を受けた。この辺り、麻生幾の『宣戦布告』での、見ててイライラする初動の遅れと非常に対照的である。
 次に、門の向こう側に自衛隊を送り込んだら、異世界の敵が10万20万待ってた、で、それらと必然的に戦闘になって、コッテンパンにやっつけた、というところ。派遣するにあたっては、「特地派遣法」って法律が成立してるらしいのだが、おそらく敵から攻撃を受けたら、現地指揮官の判断で戦闘してよろしい、という条項が入っているのだろう。
 3つ目は、イタリカとかいう街の攻防戦に介入した事。助勢を依頼したのは、交戦相手である「帝国」の皇族であるから、圧倒的な力の差を見せつけて、継戦を断念させる目的があったといえば筋は通るが(そしてその通りになってるし)、現地の紛争に、自衛隊が介入する判断を現地指揮官がしてよい、という大幅な権限を、「特地派遣法」は認めているのか、ちょっと気になった。
 この作品の原作者は、元自衛官だそうである。おそらく、現場としては、このくらいの権限、やれる事があればいいな、という事じゃないかと思う。別に、ドラゴンや魔法少女が出て来る様な異世界でなくても、自衛隊が出向く先は、日本の常識が通用しない世界がいっぱいある。AK47をブラブラさせた土人のガキが襲いかかって来るような、そんな異境に派遣されているのだ。自衛隊員が自分の身を守りながら、かつ備えた能力を発揮し、与えられた任務を全うするには、このアニメで描かれた様な事が出来る法整備をして欲しい、という事なんだろうと思う。その点は、主人公の国会招致のシーンで如実に描かれていると思う。

 安保法案を巡って、賛成している人と反対している人の間で、意識、認識のズレを感じる時がある。百か零かの議論をしている様な気がする。はたまた、その裏で、なにか隠された意図がある様な気もしないではない(21世紀の戦争は、国の支配者が被支配者たる国民に対して行う体制維持の手段である)。ともあれ、行き過ぎの無い様にして貰いたいものである。