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 今回の引っ越しも雨に祟られ続けたのだが、最後の最後、旧居の引き渡しもまたも雨。しかも台風である。
 そうなると思って、最後の荷物は金曜の夜のウチに運んでしまい、最後の最後の荷物と猫は、冷蔵庫と洗濯機の回収が来たあと運んだ。なので荷物が濡れる事はなかった。新居についてから、夜半過ぎまで後始末の作業をやったもんで、さすがに疲れた。
 さて、引き渡しは29日1400時。結構雨がキツかったのだが、管理会社のにーちゃんは遅れる事なくやってきた。内装の職人やってるだけあって、結構細かく見ていたが、元の状態を知ってる訳でないので、自分が貼った壁紙を指して「これ、元からですか?」と聞いてくる。今さらウソ付いても仕方ないので、正直に答えていった。
 壁紙が全面貼り変え、襖の紙も貼り変え、畳もベッドの跡が付いた部分が2枚面かえ、猫がガリった柱も塗り替え。壁紙は9年住んでるという事で、東京都だか国交省だかの通達の関係で、こっちの負担は10%だけ。それでも10万7千円くらいになった。敷金と相殺して、大体4.5〜5万円くらい。後日、精査して請求するとの事。まぁ、このくらいだろうと思っていたので、了解して鍵を返却した。
 しかし、一時の仮住まいのつもりが、9年も住んでしまった。住んでた時はあまり感じなかったが、広い家に住み替えてみると、結構狭い部屋である。こんな狭い部屋でも、一切合切の家具がなくなってしまうと、声が響くのだ。それがまた寂寥感を漂わせる。この狭い台所で、たった1つのガスコンロで、色んな料理を作ったし、ガソリンストーブやケロシンストーブでも料理した。汚いだの不潔だの言われたこの台所とも、お別れである。
 雨脚はいよいよ激しく、早いこと帰らないと、前も見えないくらいになりそうだった。夏前に生まれて、大きくなった野良の子猫が、雨の中をダッシュしていくその背中に「達者で暮らせよー!」と声を掛けて出発した。あまり感傷に浸ってる余裕はなかったのだ。なにせ、新居の後始末はこれからなのである。