syourai_sekkei_man
(DIME 2020.03.24

 嫁さんから老後の事について相談があった。その相談の内容は、もっぱら嫁さん自身に関わる事だが、ここでは自分自身に関わる事だけ書いておく。
 実は、まったく考えなしではない。むしろ熟慮した方である。その端緒は、2016年夏に父方の婆様が亡くなった時、急に日本経済の先行きに不安を感じて、それまで経済の事などまったく無関心だったのが、先の大戦後の預金封鎖やインフレの話を中心に調べ始め、自分の資産の一部を安全資産に置き換えた時だった。
 当時、自分は47歳。あと3年で50歳という事で、50歳からの向こう10年をどうするか、考えたのである。そのまま独り身だったら、間違いなく孤独死コースである。当時は孤独死がクローズアップされはじめていた。賃貸で住んでたのでは、後始末が大変で残された者に迷惑がかかる。一戸建てでも迷惑には違いないが、少なくとも赤の他人に迷惑かける可能性が少ない。聞けば古く小さい家なら500万円くらいからでもある。となれば、今の貯金をはたいてでも買えるし、今払っている家賃と駐車場代を貯めれば、10年で幾らいくら貯まる、という計画を立てたのである。自分の老後計画は、まず住むところの変更から始まったのだ。ところが、それを実行しようとした矢先、嫁さんと知り合ったのである。家を買うことを即座に決心できたのは、この計画があったからであるし、予定よりオーバーした予算でも買えたのは、親のおかげである。今の家が短期間で見つかったのは、運が良かったのだ。2017年は何のかんので運が良かったのだ。そして、貯蓄の計画も、この時立てた通りに実行中である。
 しかし、この計画は向こう10年の話しである。そこから先は、ぶっちゃけ何も考えてない。というか、見えてこない。それよりも、今、どう上手く生きるか、いかにヘマを打たないか、そうした事の方にこそ関心が行っている。仕事でミスって首が危うくなる、職場関係が悪化して居づらくなる、経営悪化や天変地異や、そういうので、、、色々不安があるのは、先々よりも今なのである。勤め人の多くは、こうした不安と日々隣り合わせてるんじゃなかろうか。先々を考えてない、今の事しか考えてない、そうではないのだ。今の事しか考えようがない、というのが実態かもしれない。それが今の人の暮らし向きなのだ。
 親父はもう定年して15年になるし、それでいて「もう働くの嫌や」と悠々自適の生活をやっているのだが、その親父曰く、「金持ちでも貧乏人でも、等しく定年になるんや。そうと分かってるんやから、あらかじめ計画しとくのは当たり前やろ」との事。全う至極な意見だし、そうあるべしと自分も思う。しかし、20代から定年まで一つの会社で勤め上げた終身雇用時代と、自分みたいに解雇されて争議やったりした世代との、微妙な感覚の違いというのも感じないでもない。自分などは、この失われた10年だか20年だかを生きた世代としては、破格にラッキーな部類と感じてはいるが、それでも先行きの見えない不安から、そこまで明確に先々の計画を立てたれないでいるのである。